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〔現地レポート〕JRおおさか東線を現地訪問


2008年3月15日、いわば恒例行事となる春の大ダイヤ改正。
九州発着のブルートレインが全廃するなどの暗いニュースが、鉄道ファンの間で大きな波紋を呼んだ。
その反面、JR西日本では1997年に東西線が開業して以来となる新規路線の開業、それを含めた12駅の新駅開業など、利便化の向上につながる内容も多々あった。

このページでは、前述の「新規路線の開業」すなわち「おおさか東線の開業」とその周辺事項について、現地での写真を中心に紹介したい。


■概要

JR西日本片町線の支線であった城東貨物線を旅客用車両が運行できるように改良した上で、2008年3月15日に開業した。
当初は大阪外環状線という名称で計画・建設が進められていた。また計画段階では2006年度での開業を目処にしていたが、用地買収が難航し工事に遅れが発生したため開業が遅れた。

データイムは平日・休日ともに毎時4本の普通電車を運転。全列車103系又は201系車両6両編成での運転である。他線との乗り入れ運用は無く、全普通電車が放出〜久宝寺間を往復する。
ラッシュ時にはそれに加え、尼崎から放出・久宝寺・奈良を結ぶ直通快速を運転。停車駅は尼崎〜京橋間各駅、放出、久宝寺、王寺以降各駅。全列車が223系6000番台での運転である。朝ラッシュ時は奈良から尼崎方面、夕ラッシュ時は尼崎から奈良方面へ、上下線あわせて1日4往復運転される。

営業中区間の路線全長は9.3kmで、放出〜久宝寺間を普通電車は約15分、直通快速は最速9分で走破する。
しかし直通快速の中には同区間を14分かけて走る運用も存在する。この場合の表定速度は約40km/hと、線内の駅をすべて通過する列車とは思えないほど遅い。



■車両紹介


 ●103系

  管理人は東線での運用を一度も見ていないのだが、現在は運用に入っている模様。全体的に201系より運用に就く割合が少ない。



 ●201系

おおさか東線201系

普通列車として運用している201系。奈良電車区の201系が運用に就く。

方向幕。路線名表示はおおさか東線のラインカラーであるブルーグレーを背景に、白文字で行先を提示している。
余談だが、フォントは東線開業に先立って森ノ宮電車区・奈良電車区の103・201系全車で変更された。新フォントでは以前のものと比べて文字のサイズが若干縮小された。

201系方向幕

 ●223系6000番台

223系6000番台

続いて直通快速で運用される223系6000番台。あらゆる性能が221系と統一化されている。

種別表示機と行先表示機。種別幕は新規にデザインされたもの。英語表記は「Direct Rapid Service」となっており、駅の電光掲示板などでは「D.Rapid」と表示される。

なお、この写真では行先表示LEDが切れてしまったので、特殊な撮影方法によりLEDが完全に写った写真を、右下に合成しておいた。

223系6000番台 種別表示・行先表示
JR東西線内の223系

直通快速は始点の尼崎駅からJR東西線を経由する故、左図のように地下駅に停車する223系の姿が見られるようになった。

京橋駅の一つ手前、大阪城北詰駅での撮影だが、上りの開業後一番列車であったにもかかわらず、車内が空いていることが確認できる。
また、東西線の各駅では乗客が直通快速を見送っている姿が多く見られた。運転初日なので、まだ直通快速の存在が浸透されていなかったのかもしれない。

車内の車番表示プレート。東線用(宮原総合運転所所属)の223系は当初2000番台として製造されていたが、開業直前になって急遽6000番台に改番(原番号+4000)され、車内のプレートに関しては千の位の「2」の上から「6」のシールを貼り付けて対処している。
また、車内設備は223系2000番台5次車を踏襲しており、321系と同仕様となった蛍光灯カバーが確認できる。

223系車内 車番表示プレート

■駅別紹介


 ●放出駅

電光掲示板

電光掲示板は東線開業に合わせて新規のものが設置されたが、以前のものより文字のサイズが小さくなった。


放出駅ではこの写真と車両の写真を撮影。放出駅施設関連の写真はこれ一枚のみです。


 ●高井田中央駅

駅舎

まずは駅外観の写真。
右手にはバス停留所の敷地が広がっている。

東線の各駅では汎用タイプの駅名板のほか、車内で座っている乗客の目線に合わせて階段の側壁を使った駅名表示がある。
また、駅ごとにステーションカラーが定められており、その色が駅名表示やエレベーターなど、至るところで使用されている。当駅の場合は赤色である。

階段部の駅名表示
駅名板

参考までに駅名板。広告スペースに埋め込まれている点を除けば、他駅で使用されている汎用型と同一。

駅構内のエレベーター。ステーションカラーの赤色が映える。

エレベーター
駅からの風景

駅から周囲を俯瞰する。住宅地が広がっており畑が点在している。写真では確認できないが、付近には高速道路が通っている。


 ●JR河内永和駅

駅舎

駅外観。駅前ではどこかの店で東線開業記念セールなるものが開催されていた様子。

ステーションカラーは紫色。

階段部の駅名表示
ホームドア

ホーム防護柵はJR河内永和とJR長瀬の両駅に設置されている(開業日調べ)。

ホームより近鉄奈良線の高架を望む。東線のホーム真上に近鉄河内永和の駅ホームがあり、立体交差を形成している。

ホームより近鉄奈良線を望むる

 ●JR俊徳道駅

JR河内永和〜JR俊徳道間の距離はわずか600mしかないので歩いて移動。沿線は住宅街が広がっている。


駅舎

駅入口。

ステーションカラーは黄緑色。

階段部の駅名表示
ホームより近鉄大阪線を望む

ホームより近鉄大阪線に架かる鉄橋を望む。写真右に近鉄のホームがある。
ちなみに、近鉄奈良線と近鉄大阪線は布施駅で分岐しているが、大阪線の俊徳道・奈良線の河内永和両駅ともに布施の次の駅である。


 ●JR長瀬駅

駅舎

最近造られたJR西日本の駅に多い、波打つ形状のデザインを採用している。私的には近代的で好感が持てるデザインである。

ステーションカラーは桃色。

階段部の駅名表示

 ●新加美駅

おおさか東線の中間駅としては最後の駅となる。
付近にはJR大和路線の加美駅が存在するが、新加美と加美は徒歩で一分程度で移動できる距離ほどしか離れていないため、某コンビニの加美駅前店が新加美駅の目の前にあるなど、一種のジョークになるような現象が起こっている。あまりにも近いので、計画段階では終点を加美駅にする案があった。


駅舎

駅舎。こちらも近代的なイメージのデザインが施されている。

東線内の駅では新加美のみが対向式ホームを有する。ホームはカーブの途中に設けられているため、線路には大きくカントがつけられている。

ホーム全景
階段部の駅名表示

ステーションカラーは黄色。

余談だが、右図の写真のように黒と黄色の相性は大変良く、和風チックな色使いが大変素晴らしい。

エレベーター
電光掲示板

大阪環状・大和路線運行管理システム管轄内である中間4駅に設置されている電光掲示板は、JR神戸線・京都線の普通電車のみが停車する駅で使われているものと同じである。

謎のLED表示機であるが、近くの鉄柱に「下り抑止表示機」の表記があったことから、JR西日本の駅では初設置の抑止表示機であると思われる。JR東日本では首都圏各線で使用されている。

抑止表示機

■後記

おおさか東線は現在、放出(鴫野)〜久宝寺間が開通しているが、現在延伸予定区間として放出(鴫野)〜新大阪間が敷設工事中である。こちらの延伸予定区間については、当初2012年度の開業を目処に工事が進められたが、線路用地の不法占拠や用地内に建造されているマンションの買収問題、新大阪駅付近における踏切の長時間遮断による交通渋滞の悪化を引き止めるための計画変更により、当初の計画に大幅な遅れが発生し、2018年度を目処に工事を進める旨の計画変更が行われた。開業後は奈良電車区とその周辺の車両配置が大きく変化することが予想され、このページでも随時、動向を見守りたい。

なお、このページの作成にあたり、Wikipediaに掲載された情報を一部拝借しております。

最後になりましたが、当特集をお読みいただき誠にありがとうございました。誤字・脱字などなんなりとご指摘ください。

※下線部分は2009年2月7日に追記いたしました。


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